1回目の学習コンクール受賞作品「みんなは知ってる?小耳症!」
『みんなは知ってる?小耳症!』
2022年8月2日に成田富里徳洲会病院にて丸山医師と中島医師が小耳症手術(永田法)を行った患者様の自由研究作品『みんなは知ってる?小耳症!』が、地域の教育委員会主催の学習コンクールにおいて、優良賞を受賞されました。
小耳症手術について患者様の視点から調べたことが詳しくまとめてあり、入院生活や手術前後の心境などもうかがい知ることが出来る素晴らしい作品です。
研究の目的
ぼくが今回の自由研究のテーマで、なぜ小耳症を選んだかというと、小耳症の研究を発表し、より多くの人に知ってもらいたかったからです。小耳症は、一万人に一人だけがなるというとても稀な障害で、知る人もあまりいません。そして、なぜこのような障害になるのかも詳しくはまだわかっていません。
そのため、まだ少し不明な点がある小耳症を少しでもわかってもらい、自分の気持ちを少しでも分かってもらうために、今回は小耳症を研究しようと思いました。
研究の方法
- 小耳症について、インターネットや本で調べる
- 実際に手術をして体験を記録する
- ぎ問などを医者やかんごしに聞いたりする
本文
小耳症とは
小耳症とは、生まれつき耳の形が不完全で小さい病気(疾患)のことです。片方の耳が反対側よりやや小さいものから耳がない状態のものまで、様々な程度の小耳症があります。
そして、5000~10000人に一人に生じるとても稀な疾患です。(正確な統計が取れていないため、想定されている比率です。)ちなみに小耳症は女性よりも男性が多く、右耳より左耳が多いようで、両側は1/10(10:1)の傾向で見られます。
遺伝性は基本的にはありませんが、1~2%の方では兄弟や親子での発症があることから、ごく一部の方で関与している可能性があります。なぜ、小耳症になるかという原因はまだ不明な点がありますが、胎児が母親のおなかにいる時、耳介やあごになる第一鰓弓や第二鰓弓の癒合に何らかの障害が生じるためと考えられています。顔の骨の発育が悪かったり、中耳の音を伝える部分が欠損したりするのも発生の基となる部分が同一だからです。
小耳症の問題点
小耳症の問題点は機能面と整容面に分けられます。
機能面では眼鏡やマスクがかけられないなどの問題のほかに、聴力障害を伴うことがあります。
整容面はいわゆる見た目の問題で、反対側と比べても違和感のない耳を作ることを目標としています。
ぼくの場合は、一年生のころに一回だけ、耳の形が原因で「耳なし人間」と言われたことがあり、その頃は
一年だったので、とてもきずつきました。
この経験をして、そのころの自分は耳はまた元にもどって聞こえるようになるのかと疑問に思うようになりました。
その他にも、聞こえ方やマスクが問題で、聞こえ方では左耳が聞こえにくく、何を話しているのかが分からず、また、マスクや眼鏡のことでは僕は眼鏡をつけられますが、いまだにマスクは工夫しないとつけられません。耳の形についてはとても迷いましたが、手術することに決め、聞こえについては、これからも補聴器を使っている対応していこうと思いました。
小耳症と僕自身をもっと知ってもらうために、①小耳症の手術について②僕の聞こえ方と補聴器
について調べていこうと思います。
①小耳症の手術について
他の手術でも同じような耳の形を作ることができるようですが、自分は永田法で手術することにしました。
小耳症の手術は助軟骨という胸の軟骨を使って作るのが一般的で、少なくとも二回の手術が必要になります。一回目の手術は助軟骨を使って、耳の形を作る手術です。耳の大きさが大人に近くなり、耳を作るのに十分な助軟骨が取れる体格となる10歳前後に行うのが一般的です。助軟骨を採取して、耳の形の基礎となる枠組みを作ります。この枠組みを側頭部の皮膚の下に埋め込んで一回目の手術は終了となります。しかし、この時点では耳は側頭部にはりついたままの状態です。
二回目の手術は側頭部に張り付いている耳を起こす手術です。作った耳を前方に持ち上げて耳の後ろに皮膚を移植します。これで眼鏡をかけたりする耳の後ろの溝が出来ます。
ぼくの入院と手術の記録
入院記録 (8月1日〜22日)
こちらのPDF資料6ページ目より、写真付きで入院中の様子をレポートしています。ぜひご覧ください。
感想
自分は、この自由研究を作って思ったことが三つあります。
一つ目は、小耳症を調べた時のことについてで、最初、小耳症の事をどれくらい知っていたかというと、1~10で表すとして、2~3の間ぐらいでしたが、小耳症の事を調べた後は、自分が思うに8~9の間くらいになっていました。もともとこれは、見ている人も共感できるように作っていたので、ちょうどいいのではと、思いました。
二つ目は、入院している時のことで、正直自分はとても油断していました。ですが麻酔から目覚めた途端、はげしい痛みが自分をおそったので、油断するのではなかったと後悔しました。けれど、前回の痛みを覚えているのなら、二回目の手術は覚悟して挑めるのではないのかと思い、少し安心しました。
三つ目は自分の聞こえの問題と、その解決法の事で、これは書いている時にとてもきんちょうしました。なぜかというと、みんながそれを実行して、ちゃんとできるかと心配に思い、自分の説明に納得できるかと、これも改めて心配に思ったからです。しかし、雑音の事に関しては、じぶんのためだけでなく、うるさい音が苦手な人にとっても助かると思いますので協力してくれたらうれしいです。
参考文献
- 「ビジュアル・アナトミー カラー人体図鑑」発行年:2010年02月18日
ジェーン・ダ・バーグ 編 金澤寛明 訳 西村書店 - 「からだの不思議がわかる!」発行日:2010年07月02日
山田真 監修 実業之日本社 - 「世界で一番美しい人体図鑑」発行日: 2011年07月
監訳: 奈良 信雄 訳: 三村 明子 出版社: エクスナレッジ - 「実物大 人体図鑑 2骨」発行日:2010年11月15日
坂井 建雄 (監修), こどもくらぶ (編集), 野口 賢司 (イラスト) ベースボール・マガジン社
参考にしたサイト
- 一般社団法人日本形成外科学会
- 北海道公立大学法人札幌医科大学
- 永田小耳症形成外科クリニック
- きこいろー片耳難聴の情報・コミュニティサイト
- Wikipedia 2022年8月7日
- 軟骨伝導補聴器
- 難聴の種類と鼓膜穿孔 | ノーベルファーマ株式会社
2回目の学習コンクール受賞作品「みんなは知ってる?小耳症!Ⅱ」
2023年6月1日に成田富里徳洲会病院にて丸山医師と中島医師が2回目の小耳症手術(耳立て)を行った患者様の自由研究作品『みんなは知ってる?小耳症!!Ⅱ』が、地域の教育委員会主催の学習コンクールにおいて、2度目の優良賞を受賞されました。
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