小耳症(右耳)の他院術後 再々健術 肋軟骨移植術 耳介挙上術 2024/5/7
U.Sさん 成人女性の他院術後 再々健術手術記録
施設名 | 担当医師 |
---|---|
成田富里徳洲会病院 | 丸山成一 (ヒルズ美容クリニック) |
中島康代 (成田富里徳洲会病院) |
解説
今回は成人の方で、幼少時に他院で小耳症手術を受けましたが、永田法での再建を希望された患者様です。
浅側頭動脈が切断されていたり耳後面に感染を起こしていたりと、使用できる皮膚や筋膜が限られてしまう困難な症例であったため、1回で挙上まで行う手術となりました。
STEP 01
再建されていた耳は、形が大きく位置が前方で耳から毛が生えています。また、鼠径部の色調の異なる皮膚が耳の前面に移植されていました。
STEP 02
健側(左耳)の耳を参考に耳介を再建します。
術前に血管造影CTを行い、浅側頭動脈の評価を行いました。
この方は幼少時の手術で浅側頭動脈は切断されたと思われました。このため後頭動脈を栄養血管とする筋膜弁を使用する計画となりました。
STEP 03
本来あるべき位置でデザイン。
肋軟骨は他院での耳介形成術により左側胸部から複数の肋軟骨が採取されているため、右側の肋軟骨を採取します。
他院で挿入された肋軟骨フレームを取り出し、新たに作成した肋軟骨フレーム(写真中央)を挿入します。
STEP 04
本来あるべき位置に新しく作成したフレームを固定します。
今回は挙上も一度に行ったためフレームの後面に挙上用のブロックを入れています。
筋膜弁で覆いました。
吸引をかけると輪郭が出ているのがわかります。
耳は立っているのがわかります。
STEP 05
皮膚の足りない部分に頭皮から採取した分層皮膚を植皮しました。
輪郭が出るようにボルスター固定を行っています。
今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出
③糸やワイヤーの露出
④傷跡が目立つ
⑤薄毛・脱毛
⑥長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
⑦長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。
※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。
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