耳垂残存型小耳症(左耳)の肋軟骨移植術 2024/3/5

M.Kさん手術時14歳女児の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

M.Kさん14歳女児の健側(右耳)の耳を3Dスキャンし反転したデータを3Dプリンターで出力した、左耳の模型と型紙

(写真左から、3D模型、肋軟骨フレーム、型紙)

健側(右耳)の耳を3Dスキャンし反転したデータを3Dプリンターで出力し、小耳症側(左耳)の模型を作成します。この模型を見本に、肋軟骨フレームを作成しました。このようになるべく反対側に合わせてデザインするように心がけています。

手術と経過

M.Kさん14歳女児の術前の耳
術前

1回目肋軟骨移植術 手術前の左耳の状態(耳垂残存型小耳症)です。

全体のデザイン
デザイン
耳の裏側のデザイン
デザイン(耳裏)

肋軟骨移植術の手術デザインです。

皮弁形成と遺残耳介軟骨を摘出し、皮下ポケットを作成

皮弁形成を行いました。

  • 耳垂前面皮弁
  • 耳垂後面皮弁
  • 乳突洞部皮弁
  • 耳珠用皮弁

すべての遺残耳介軟骨を摘出し、皮下ポケットを作成しました。

健側(右耳)と3D模型

写真左:健側(右耳)

写真右:健側(右耳)の耳を3Dスキャンしデータを反転して3Dプリンターで出力した左耳の模型と型紙です。

3D模型と型紙をもとに作成した肋軟骨フレーム
3D模型と肋軟骨フレームと紙型

写真中央が3D模型と型紙をもとに作成した肋軟骨フレームです。

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介
術直後

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介です。

次回は耳介挙上術(耳立て手術)を行います。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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