耳垂残存型小耳症(左耳)の肋軟骨移植術 2022/8/2

T.A君10歳男児の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

4本の肋軟骨でフレームをつくっているため、
耳甲介;concha(コンカ)が深く耳の穴があるように見えます。

作成した3次元肋軟骨フレームと紙型。

4本の肋軟骨でフレームをつくっているため、耳甲介;concha(コンカ)が深く耳の穴があるように見えます。

今回は耳垂型タイプの小耳症で、耳甲介をみとめませんが、耳甲介タイプの小耳症は、もともと耳甲介が存在するためつくりやすい特徴があります。症例写真をみるときは術前の状態と術後の状態をしっかり比較しておきましょう

手術と経過

耳垂残存型小耳症の術前。
術前
透明フイルムに印刷した本人サイズの設計図を用いて 耳介の正常な場所と大きさを決定する。

透明フイルムに印刷した本人サイズの設計図を用いて
耳介の正常な場所と大きさを決定する。

肋軟骨移植術の手術デザイン。

肋軟骨移植術の手術デザイン。

肋軟骨移植術の手術デザイン。

皮弁形成を行った。

  • 耳垂前面皮弁
  • 耳垂後面皮弁
  • 乳突洞部皮弁
  • 耳珠用皮弁

すべての遺残耳介軟骨を摘出した。皮下ポケットを作成した。

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介。

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介。

【★動画でご覧いただけます:3次元肋軟骨フレームを挿入後の様子 】

ボルスター縫合固定を行って手術終了。

ボルスター縫合固定を行って手術終了。

術後 2週間
術後 2週間
術後 2週間
術後 2週間

術後 3週間
術後 3週間
術後 3週間
術後 3週間
術後 3週間
術後 3週間
術後 3週間
術後 3週間

この時期はいったん腫れていますが、数ヶ月かけて腫れが引き輪郭がはっきりでてきます。

術後 約1カ月
術後 約1カ月
術後 約1カ月
術後 約1カ月
術後 約1カ月
術後 約1カ月
術後 約1カ月
術後 約1カ月

まだ術後1ヶ月なので腫れていますが、今後はさらに形がハッキリしてくるでしょう。

術後 5カ月半
術後 5カ月半
術後 5カ月半
術後 5カ月半
術後 5カ月半
術後 5カ月半

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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