小耳甲介型小耳症(左耳)の耳立て手術 2024/5/21

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

約1年8.5カ月前に成田富里徳洲会病院で、1回目肋軟骨移植術を行った症例です。このたび耳介挙上術(耳立て手術)を行いました。

皮膚に余裕があったので耳垂は皮弁にせずにそのまま耳垂として残しています。

手術と経過

小耳甲介型小耳症(左耳)I.R君の術前横向きの状態
術前(横)
小耳甲介型小耳症(左耳)I.R君の術前斜めから見た状態
術前(斜め)
小耳甲介型小耳症(左耳)I.R君の術前正面から見た状態
術前(正面)
小耳甲介型小耳症(左耳)I.R君の術前背面から見た状態
術前(背面)
小耳甲介型小耳症(左耳)I.R君の健側の右耳
健側の耳(右耳)

健側の右耳を参考に耳介を立てます。

小耳甲介型小耳症(左耳)I.R君の左耳眼鏡をかけた状態
小耳症側(左耳)の眼鏡をかけた状態
デザイン
デザイン

もともと耳珠の皮膚が足りない状態でした。2回目の手術時に耳珠を作成することにしていたので、耳前部に皮切ラインを入れ、そこから細工した肋軟骨を挿入し耳珠を作成しました。

肋軟骨ブロック上から見た状態
肋軟骨ブロック横からみた厚み
挙上用の軟骨ブロックと耳珠用ブロック

作成した挙上用ブロックと耳珠用の肋軟骨ブロックです。

術中、浅側頭筋膜(TPF)を挙上

浅側頭筋膜(TPF)を挙上しています。

術中、頭皮分層皮膚を採取

頭皮分層皮膚を採取しています。

2回目手術直後
2回目手術(耳立て)直後

耳珠にブロックを追加したことでより形が立体的になりました。

再建した耳介の角度
2回目手術直後(耳の角度)

再建した耳介はしっかり立っています。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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