耳垂残存型小耳症(右耳)の耳立て手術 2025/11/4
M.Hさん成人男性の2回目小耳症手術記録
| 施設名 | 担当医師 |
|---|---|
| 成田富里徳洲会病院 | 丸山成一 (ヒルズ美容クリニック) |
| 中島康代 (成田富里徳洲会病院) |
解説

今年4月に成田富里徳洲会病院で、1回目肋軟骨移植術を行った耳垂残存型(じすいざんぞんがた)小耳症の患者様です。※写真は最初の耳垂残存型小耳症の状態。
耳垂残存型小耳症は、耳垂(耳たぶ)だけが形成されているタイプの小耳症です。耳珠や耳介全体を新たに作るケースが多く、耳介全体の再建が必要となります。再建範囲が広いほど皮膚の使用量も増え、手術の難易度は高くなります。


1回目手術(肋軟骨移植術)では肋軟骨フレームを挿入し、耳の輪郭を作りました。写真は、手術後1年が経過した状態ですが、耳の溝はしっかりでており、腫れも赤みもありません。この状態ではまだ耳は立っていません。
1回目手術の様子はこちら→『耳垂残存型小耳症(右耳)の肋軟骨移植術 2025/4/1』
1回目手術から7カ月が経過し、このたび2回目手術で耳立て(耳介挙上術)を行いました。
2回目の手術では、耳裏に肋軟骨ブロックを挿入し、耳を立てます。
永田法小耳症手術は、このように1回目の手術で耳の輪郭を作り(肋軟骨移植術)、2回目の手術で耳を立てる(耳介挙上術)順番で行います。
手術と経過
STEP 01






耳介挙上術(耳立て手術)の手術前の状態です。健側の左耳を参考に耳を立てます。
STEP 02

耳介挙上術のデザインです。
STEP 03

1回目の肋軟骨移植術の際に、採取した肋軟骨のうち使用しなかった部分を胸部にバンキングして保存していました。
バンキングとは、将来の再手術などに備えて、自分の体内の別の部位(多くは胸部など)に一時的に軟骨を埋めて保管しておく方法です。
写真の青い矢印で示している、胸の少し盛り上がった部分にその肋軟骨が入っています。
今回の手術では、その保存していた肋軟骨を取り出して使用しました。
つまり、この方法では新たに肋軟骨を採取する必要がなく、1回目の手術と同じ切開部から取り出せるため、新たな傷をつくらずに済みます。
なお、この患者様は体格のしっかりした成人男性であったため、このような処置(胸部へのバンキング)が可能でした。
STEP 04

浅側頭筋膜(TPF)を挙上しています。
バンキングで保存していた肋軟骨で「肋軟骨ブロック」を作成し、耳裏に挿入して浅側頭筋膜(TPF)でカバーします。
カバーしたTPFの上に、頭皮から採取した皮膚(頭皮分層皮膚)を移植します。
STEP 05



耳はしっかり立っています。
腫れや赤みは時間の経過とともに落ち着いていきます。
この患者様の全ての手術記録 →
今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出
③糸やワイヤーの露出
④傷跡が目立つ
⑤薄毛・脱毛
⑥長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
⑦長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。
※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。
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