耳垂残存型小耳症(右耳)の肋軟骨移植術 2025/6/3

T.Hさん成人男性の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

耳垂残存型小耳症の患者様(成人男性)です。このたび成田富里徳洲会病院にて1回目小耳症手術を行いました。

手術と経過

術前日(小耳症側の右側面)
術前日(右斜め)
術前日(正面)
術前日(背面)
左斜め(健側の左耳)
左側面(健側の左耳)

右側が耳垂残存型小耳症の患者様の手術前日の状態です。健側の左耳を参考に耳介を形成します。

デザイン

肋軟骨移植術の手術デザインです。

術中

皮弁形成を行いました。

  • 耳垂前面皮弁
  • 耳垂後面皮弁
  • 乳突洞部皮弁
  • 耳珠用皮弁

すべての遺残耳介軟骨を摘出し、皮下ポケットを作成しました。

写真左:3次元肋軟骨フレーム
写真右:永田法の型紙

永田法の型紙をもとに3次元肋軟骨フレームを作成し、健側(左耳)の形に合わせて細かく調整します。

術直後

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介です。耳の溝がしっかりできています。

次回は耳介挙上術(耳立て手術)を行います。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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