無耳症(右耳)の肋軟骨移植術 2025/8/19

M.Y君手術時10歳男児の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

右側が無耳症の小耳症症例です。このたび成田富里徳洲会病院にて、小耳症手術1回目の肋軟骨移植術を行いました。

無耳症とは、耳介がほぼ存在せず、耳垂部分の組織が足りないため耳垂れが作れない状態です(本来あるべき場所から離れた位置に、小さな耳たぶや福耳が存在する場合もあります)。そのため、他の小耳症タイプより術式は複雑になります。

手術と経過

術前(右耳小耳症側)
術前(右耳小耳症側の側面)
術前(斜めから見た右耳)
正面から見た状態
背面から見た状態
健側の左耳を斜めから見た状態
健側の左耳を側面から見た状態

無耳症小耳症の症例です。ほぼ耳介が存在せず、耳垂部分の組織が足りない状態です。

健側(左耳)の耳を参考に耳介を作成します。

手術デザイン

肋軟骨移植術のデザインです。本来の耳の位置にほぼ耳介が存在しないため、再建の難易度が高いタイプです。

顔の大きさに左右差のある患者様の再建位置については、横から見た状態・眼鏡などをかけた時の位置関係などをご本人やご家族と決めていきます。

3D模型(左)と、3次元肋軟骨フレーム(中央)と永田法の紙型(右)
健側の左耳を反転して作成した3D模型と模型を参考に作成した3D肋軟骨フレーム
3次元肋軟骨フレームと紙型

採取した肋軟骨で、3次元肋軟骨フレームを作成します。

事前に作成した3D模型は、健側の左耳を3Dスキャナーでスキャンし、データを反転して3Dプリンターで出力したものです。3D模型を参考に、健側の耳に近づける工夫をしています。

術後

耳介の凹凸をきれいに出したいですが無耳症の場合もともとの皮膚が少ないため以下のような工夫を行いました。

下方の小さい耳垂も表面積を稼ぐために皮下で半切して広げました。その後3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して吸引をかけて形を出します。

その後に皮膚をカットしながら必要な場所に移動させて凹凸を出します。

再建した耳介は、耳介の溝ができています。

術後

ボルスター縫合固定をして終了です。

次回は、耳介挙上術(耳立て手術)を行います。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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