両側小耳症(ローへアラインを伴う耳垂残存型小耳症)の左肋軟骨移植術 2024/6/18

M.Y君手術時11歳男児の左肋軟骨移植(1回目手術の記録)

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

左側
右側

トリチャーコリンズ症候群を伴う、両側小耳症の症例です。このような症例の場合、基準線がなく、耳をどこに作ればいいのか、難しいところがあります。

永田医師はこのような場合も、永田法のテンプレートを基準に作っていましたが、その場合ローヘアーラインの手術となります。しかし顔のほかのパーツとのバランスを考えると、また実際にマスクや眼鏡を掛けたるとかなり高い位置にきてしまいます。

そこで、テンプレートにとらわれず、実際にマスクメガネをかけていただき、またご両親・ご本人の希望(マスクを掛けたときにマスクのふちが目に入らないようにしたい)を優先して時間をかけてデザインを行い、日常生活に即した位置で耳介を作成することにしました。

手術と経過

両側小耳症の症例を正面から見た状態
正面
両側小耳症の症例を右斜めの状態
右斜め
両側小耳症の症例を右側面の状態
右側面
両側小耳症の症例を左斜めの状態
左斜め
両側小耳症の症例を左側面の状態
左側面

両側小耳症の場合、手術は計4回行われます。

初回手術(肋軟骨移植術)は左側の耳から行いました。左右ともにローヘアーラインを伴う耳垂残存型小耳症の症例です。

両側小耳症の症例の肋軟骨移植術の手術デザイン
デザイン

肋軟骨移植術の手術デザインです。

両側小耳症の症例の術中、皮弁作成

皮弁形成を行いました。

  • 耳垂前面皮弁
  • 耳垂後面皮弁
  • 乳突洞部皮弁
  • 耳珠用皮弁

すべての遺残耳介軟骨を摘出し、皮下ポケットを作成しました。

神経刺激装置を使用

顔面神経の走行異常が考えられる患者様には、神経刺激装置を使用し、安全に配慮した手術を行っています。

神経刺激装置の先端からは微弱な電流が流れており、それを創部に当てると、神経に近い場合には警告音が鳴ります。

このようにして、顔面神経の走行を把握しながら神経を傷つけないように手術を行っております。

3次元肋軟骨フレームと紙型
3次元肋軟骨フレームと紙型

作成した3次元肋軟骨フレームと紙型です。

術直後

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介です。

点線のラインまで3次元肋軟骨フレームが入っています。

両側小耳症の術直後、ボルスター縫合固定をした状態
ボルスター縫合固定

ボルスター縫合固定をして手術終了です。

次回は、右側の肋軟骨移植術を行います。

今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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