無耳症(左耳)の肋軟骨移植術 2025/12/16

S.R君手術時11歳男児の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

無耳症の症例

左側が無耳症の小耳症症例です。このたび成田富里徳洲会病院にて、小耳症手術1回目の肋軟骨移植術を行いました。

この患者様は、無耳症に加え顔面非対称を伴っており、本来耳が存在すべき位置に髪の毛が生えているため、耳の位置をどこに設定するか自体も非常に難しい、難治性の症例です。

無耳症の1回目手術では、あえて髪の毛が生える位置に耳介を作成します。

従来の永田法手術では、1回目手術で頭皮から分層皮膚を採取し、同時に毛根を除去していました。

しかしこの方法では、最終的な仕上がりで皮膚が菲薄化(薄くなる)しやすいという課題があります。

そこで、1回目手術では毛根をあえて残したまま、髪の毛が生えている位置に耳介を形成する方法に改善しました。

この段階では耳に部分的に毛が生えますが、2回目の手術で毛根の処理を行うため、最終的に移植後に毛が生え続ける心配はほとんどありません。

※万が一、わずかに毛が残って毛根が残って毛が生えた場合でも、医療レーザー脱毛による処置が可能です。成田富里徳洲会病院およびヒルズ美容クリニックでは、そのような場合にも対応できる体制を整えています。

【無耳症とは】耳介がほぼ存在せず、耳垂部分の組織が足りないため耳垂が作れない状態です(本来あるべき場所から離れた位置に、小さな耳たぶや福耳が存在する場合もあります)。そのため、他の小耳症タイプより術式は複雑になります。

手術と経過

術前(左耳小耳症側)
術前(左耳小耳症側の側面)
術前(斜めから見た左耳)
正面から見た状態
背面から見た状態
健側の右耳を斜めから見た状態
健側の右耳を側面から見た状態

無耳症小耳症の症例です。ほぼ耳介が存在せず、耳垂部分の組織が足りない状態です。

手術デザイン

肋軟骨移植術のデザインです。本来の耳の位置にほぼ耳介が存在しないため、再建の難易度が高いタイプです。

右側と同じ位置にデザインすると、後頭部に近くなりすぎてしまいます。

顔の大きさに左右差のある患者様の再建位置については、横から見た状態・眼鏡などをかけた時の位置関係などをご本人やご家族と決めていきます。

永田法の紙型(左)、3次元肋軟骨フレーム(中央)、3D模型(右)

採取した肋軟骨で、3次元肋軟骨フレームを作成します。

事前に作成した3D模型は、健側の右耳を3Dスキャナーでスキャンし、データを反転して3Dプリンターで出力したものです。3D模型を参考に、健側の耳の形に近づける工夫をしています。

術中

フレーム挿入部位の皮下を剥離します。下方にあった耳垂も表面積を最大限に生かすために皮下組織を半割して広げています。また、皮膚の位置を組み替えて綺麗な輪郭が競るように工夫しています。

術後
術直後

耳介の溝がしっかりできています。

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した様子を動画でご覧いただけます。

次回は、耳介挙上術(耳立て手術)を行います。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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