耳垂残存型小耳症(左耳)の肋軟骨移植術 2025/12/2
N.Sさん手術時17歳女児の1回目小耳症手術記録
| 施設名 | 担当医師 |
|---|---|
| 成田富里徳洲会病院 | 丸山成一 (ヒルズ美容クリニック) |
| 中島康代 (成田富里徳洲会病院) |
解説


左耳が耳垂残存型小耳症の患者様です。この患者様は右耳にも耳介変形があり、患者様ご本人は「右耳の形に合わせたい」というご希望でした。
右耳は、対耳輪の上脚が欠損しているため、耳の横幅が狭く、少し巻き込んだような形態をしています。もしこの形に合わせて“上脚を作らず”に小耳症手術を行うと、移植した耳が変形する可能性があります。
そのため、上脚はしっかり作成したうえで、全体の横幅を狭く調整する方法で対応しました。
また、軟骨は17歳の時点で骨化が進んでおり、細かな細工が非常に難しい状態でした。
その点、8〜10歳頃の軟骨は柔らかくより精密な造形が可能で、手術に適した時期と言えます。

1回目手術(肋軟骨移植術)では、肋軟骨を採取して、耳の枠組みとなる肋軟骨フレームを作成します。耳の本来の位置に作成した肋軟骨フレームを挿入し、耳の輪郭を作ります。
【耳垂残存型小耳症とは】耳垂残存型小耳症は、耳垂(耳たぶ)だけが形成されているタイプの小耳症です。耳珠や耳介全体を新たに作るケースが多く、耳介全体の再建が必要となります。再建範囲が広いほど皮膚の使用量も増え、手術の難易度は高くなります。

手術と経過
STEP 01






左耳が耳垂残存型小耳症の患者様です。右耳にも耳介変形があります。
STEP 02


肋軟骨移植術の手術デザインです。
STEP 03

皮弁形成を行いました。
- 耳垂前面皮弁
- 耳垂後面皮弁
- 乳突洞部皮弁
- 耳珠用皮弁
すべての遺残耳介軟骨を摘出し、皮下ポケットを作成しました。
STEP 04

写真中央 患者様の右耳に合わせてカットした型紙
写真右:永田法の型紙


永田法の型紙をもとに3次元肋軟骨フレームを作成します。
上脚は作成したうえで、右耳に合わせて全体の横幅を狭く調整しています。
STEP 05

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介です。
腫れや赤みは時間の経過とともに落ち着いていきます。
次回は耳介挙上術(耳立て手術)を行います。
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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出
③糸やワイヤーの露出
④傷跡が目立つ
⑤薄毛・脱毛
⑥長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
⑦長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。
※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。
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