小耳症手術・再建耳介のプロポーション正確度判定

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1978年、HALE TOLLETHが、CLIN PLAST SURG, 1978 Jul;5(3):337-45に記載した論文に『Artistic Anatomy, Dimensions, and Proportions of the External Ear』というタイトルで理想の耳の形態について解説図を報告している。
つまり、「理想の耳のプロポーションの形態」を分析し、どうあるべきかを述べた論文だ。
この論文は、現在でも、耳介再建手術を行う形成外科医にとっては必読の有名な論文となっている。
この論文で記載されている結果と、形成外科医が再建した耳介とを比較すると、再建した耳介がどこまで正確に細部まで再建されたかが%単位で誤差が判定できる。
永田法で再建した耳介とHALE TOLLETHの理想の耳のプロポーションとを比較すると、誤差範囲は1%か、2%以内であることが判明した。
実際の長さに換算すると、ほぼ1mm以内の誤差範囲に収まっている。

プロポーションの正確度判定1

プロポーションの正確度判定2

このブログの写真は小耳症治療をご理解いただくために、参考資料として掲載させていただいています。それぞれの症状によって、手術結果は異なりますのでご了承ください。

■小耳症手術による合併症

一過性の顔面神経麻痺 浅側頭動・静脈の血行不良による植皮の生着不良 感染、移植軟骨の露出 気胸 術後肺炎 縫合不全 ハゲ 床ずれ その他

上記のような合併症が生じた場合は、症状に応じて対処致します。場合によっては再手術を行う可能性もあります。

理想のプロポーションの耳介再建の計画

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◆耳介再建手術の紙上の外科理論画

図1は、3次元肋軟骨フレームを作成する際に使用している耳の紙型。図2は、紙型を黒色に着色した。図3は、3次元肋軟骨フレームを移植して再建される耳介を想定し、耳輪の外側に皮膚軟部組織2mm、耳輪の内側に1.5mmの皮膚軟部組織を黄色で示し追加した。 3次元肋軟骨フレームの耳輪の外側に2mm、内側に1.5mmの皮膚軟部組織が被覆されて耳介が再建されている事は、「1ページ」・PRS 1994で報告した。 紙上で再建した図3の皮膚成分だけトレースして実測すると図4となり、それをパーセンテージに変換すると図5の結果となる。 Hale Tollethが、報告した理想の耳のプロポーション「図6、図7」と比較すると、ほぼ同じパーセントとなっている。 結果として、耳の紙型は、正しい形態となっている事が証明された。

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◆耳の紙型

上図は、長さ60mmで、幅32mmの耳介を再建する場合の「耳の紙型」すなわち3次元肋軟骨フレームのサイズは、長さ56mm、幅28mmで作成する。耳介の周囲を被覆する皮膚軟部組織の厚さは2mmだから、長さも幅も、再建する耳介より4mm小さいサイズを作成する事になる。
さらに、耳の紙型の詳細を示す。耳珠は青色と緑色で示している。
正常な耳介の耳珠は、青色の場合が多いが、症例によっては緑色の場合もある。
Tollethの論文に、この部分の記載は無い。 下図は、正常な耳介の存在すべき場所を示している。 Fは、フランクフルト水平線。

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◆透明フイルムの設計図

透明フイルムに印刷する設計図を示す。 Fは、フランクフルト水平線。

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透明フイルムに印刷した設計図をコピーして拡大縮小し、各種サイズの設計図を作って用意する。片側小耳症の場合は、正常な耳介に透明フイルムの設計図を当てて見て同じサイズを選択し、設計図の耳介を正常な耳介に当てて置き、眉毛と目じりを透明フイルムに書き込む。

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透明フイルムに印刷した設計図を用いて耳介の正常な場所と大きさを決定する。透明フイルムを反転し小耳症サイドへ移動して書き込んでいた眉毛と目じりを合わせ正常な耳介の場所を正確に決定し、トレースする。耳珠は患者の正常な耳介の個性に合わせて決定する。 小耳症手術には、注意深く詳細な術前の設計プランニングが必要だ。
「上写真」
下の写真は、正常な耳介の場所をトレースした所見。

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「上写真」
どのように、3次元肋軟骨フレームを作成するのかを描いたイラストレーションを示す。 左は6個のパーツを作成することを示し、右には、38ゲージのダブルアームワイヤーを用いて6個のパーツを組み合わせ作成することを示している。耳の紙型は、3次元肋軟骨フレームを作成するために必要となる。

「下写真」
作成した3次元肋軟骨フレームと紙型。

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「上写真」
左の写真では、耳垂をsplitし、皮弁形成を行った。すなわち「耳珠用皮弁、耳垂後面皮弁、耳垂前面皮弁、そして乳突洞部皮弁に分割した。右の写真は、3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植し再建した耳介を示す。耳介の前上部の遺残耳介の余分は、この時点で切除した。

「下イラスト」
3次元肋軟骨フレームの皮下ポケットへ挿入する場合は、耳の部分から皮下茎部分を中心に回転させながら挿入する。耳介の輪郭の陥凹部と耳輪の周囲に抗生剤軟骨を塗った円柱状のガーゼを用いてボルスター縫合固定を行う。

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「上写真」
3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ挿入し皮弁を縫合している。 右は、皮下ポケットにサクションドレナージ「吸引」を行って耳介の輪郭が出現した所見。

「下写真」
ボルスター縫合を行って手術を終了する。 タンザー法やブレント法では、肋軟骨フレーム被覆する皮膚の表面積が不足しているために、ボルスター縫合を行うと、過度の圧迫緊張が皮膚にかかり皮膚壊死の危険があったため、皮下の吸引装置を術後用いていた。が、 永田法では、3次元肋軟骨フレームを被覆する皮膚の表面積が十分に広く確保されている術式に改善したため、皮膚に過度の緊張がかかることは無く壊死を起こす心配は無い。

小耳症に対する耳介再建術・左右対称に耳介を立てるために必要な知識

正常な耳介の立つ角度は15度から40度まで、と多くの報告がありますが、耳の立つ角度は実際のところ、正確には測定できません。「2p・図5」

一方測定できるのは、耳の頂点から頭皮までの距離ですが、この距離に関する報告は15mmから25mmまでいろいろな報告があります。「2p・図4」

ところで、「耳輪の頂点から頭皮までの距離と、耳の立つ角度と、再建耳介の後ろに移植する肋軟骨の厚さの関係」を明白に記載した論文報告はこれまでありませんでした。
小耳症に肋軟骨移植術を行って再建した耳介を左右対称に立てることは、タンザー法やブレント法などの従来法では不可能でした。
永田法では耳を対称に立てるために、第2回目の耳立て手術において、耳介の後ろに肋軟骨ブロックを移植して耳を支えます。この移植肋軟骨を生かすためと、頭部から分離し血行が減少した耳介の血行を改善するために、耳介の後ろ全体を血行の豊富なTemporoparietal fascia flap[TPF]で被覆し、その上に頭皮分層皮膚を移植します。
左右対称に立てるために、どの程度の厚さの肋軟骨移植が必要かを、あらかじめ知っておく必要があります。「1p・図1」は、小耳症に対して肋軟骨移植術を行った後の状態です。「1p・図2」は、再建耳介を頭部から分離し30度の角度に立てた状態です。「1p・図4」は、この状態を模式図にしてみると30度で立つ場合、頭皮から再建耳介の先端までの距離は、20mmという関係になる事が分かります。「1p・図3」のように、耳の立つ角度が30度の状態を保つためには、耳介と頭部の間に移植する支えとしての肋軟骨の厚さは、14mm必要になります。
「1p・図5」の模式図では、移植する肋軟骨の厚さを2mmずつ変化させると、耳介の立つ角度が5度ずつ変化することが分かります。耳介と頭皮との距離は、耳介の角度が30度を超える場合は、5度増加するたびに1mmずつ遠くなり、30度の角度以下になると5度減少するたびに2mmずつ減少することが分かります。
以上を表にすると、「2p・図1,2,3」となります。耳介の頂点から頭皮までの距離が20mmの時には、耳介の立つ角度は30度で、耳の後ろに移植する肋軟骨の厚さは14mmの関係となっています。耳の立つ角度を25度にする時は、距離が18mm、移植肋軟骨の厚さは12mmとなります。角度を35度にする時は、距離が21mm、移植する肋軟骨の厚さは16mmとなります。
小耳症手術を行う形成外科医にとって、以上のことをよく理解しておくことが、再建耳介を左右対称に立てるためには絶対必要な事となります。永田法で小耳症手術を行って左右対称に立てられた代表的症例を供覧します。

1ページ図

2ページ図

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このブログの写真は小耳症治療をご理解いただくために、参考資料として掲載させていただいています。それぞれの症状によって、手術結果は異なりますのでご了承ください。

■小耳症手術による合併症

一過性の顔面神経麻痺 浅側頭動・静脈の血行不良による植皮の生着不良 感染、移植軟骨の露出 気胸 術後肺炎 縫合不全 ハゲ 床ずれ その他

上記のような合併症が生じた場合は、症状に応じて対処致します。場合によっては再手術を行う可能性もあります。

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永田法術式やそれ以外の手術法との違いを解説

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