耳垂残存型小耳症(左耳)の肋軟骨移植術 2024/1/21

M.H君手術時9歳男児の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

耳垂残存型小耳症(左耳)の症例です。このたび、成田富里徳洲会病院にて1回目手術(肋軟骨移植術)を行いました。

手術と経過

耳垂残存型小耳症 左耳の術前の拡大
1回目手術前 耳垂残存型小耳症
耳垂残存型小耳症の術前 側面からみた状態
1回目手術前(側面から見た左小耳症の状態)
左小耳症を背面から見た時の左右
1回目手術前(背面から見た状態)
健側の右耳を側面から見た状態
健側の右耳
健側の右耳を斜めから見た状態
健側の右耳に合わせる

耳垂残存型小耳症(左耳)の術前の状態です。

健側の右耳に合わせて耳介を形成します。

肋軟骨移植術の手術デザイン
デザイン

肋軟骨移植術の手術デザインです。

肋軟骨移植術 術中
術中

皮弁形成を行いました。

  • 耳垂前面皮弁
  • 耳垂後面皮弁
  • 乳突洞部皮弁
  • 耳珠用皮弁

すべての遺残耳介軟骨を摘出した。皮下ポケットを作成しました。

肋軟骨フレーム(写真左)と紙型(写真右)
肋軟骨フレーム(写真左)と紙型(写真右)

3次元肋軟骨フレームを作成しました。

右耳の上行脚の特徴に合わせる

右側の耳の上行脚がやや上の方に開いている患者様でしたので、フレームもテンプレートよりも上に向けて作成しています。

肋軟骨移植術により形成した耳介
術直後

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介です。

きれいに輪郭が出ています。

次回は耳介挙上術(耳立て手術)を行います。

この患者様の全ての手術記録 → 


今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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