小耳甲介型小耳症(左耳)の耳立て手術 2024/11/19

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

昨年8月に成田富里徳洲会病院で、1回目肋軟骨移植術を行った症例です。1回目手術から1年3.5カ月が経過し、このたび耳介挙上術(耳立て手術)を行いました。

M.T君初回手術時9歳 小耳甲介型小耳症術前の状態
最初の状態
M.T君初回手術時9歳 小耳甲介型小耳症1回目手術から1年3.5カ月が経過した状態
1回目の手術後1年3.5カ月経過

手術と経過

M.T君初回手術時9歳 小耳甲介型小耳症2回目手術前の左耳
2回目手術の術前(左耳)

右側の耳の舟状窩(外側のくぼみ)が狭い症例であったため、左も希望により合わせて狭く作成しています。

M.T君初回手術時9歳 小耳甲介型小耳症2回目手術前 正面から見た状態
2回目手術の術前(正面)
M.T君初回手術時9歳 小耳甲介型小耳症2回目手術前 背面から見た状態
2回目手術の術前(背面)
M.T君初回手術時9歳 小耳甲介型小耳症 健側の右耳
健側の右耳

2回目耳介挙上術(耳立て手術)の術前の状態です。健側の右耳に合わせて、耳を立てます。

小耳甲介型小耳症 耳介挙上術の手術デザイン
デザイン

耳介挙上術のデザインです。

小耳甲介型小耳症 耳介挙上術の術中
術中

浅側頭筋膜(TPF)を挙上しています。

頭皮分層皮膚を採取します。

細工した肋軟骨ブロックを耳の後ろに挿入し、耳を立てます。

術中

TPFを翻転して肋軟骨ブロックを覆い、その上から頭皮分層皮膚を移植しています。

小耳甲介型小耳症 耳介挙上術の術直後の状態
術直後
小耳甲介型小耳症 耳介挙上術の術直後の状態 耳が立っている状態
耳の角度

耳はしっかり立っています。

この患者様の全ての手術記録 → 


今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

※ブログの文章、写真画像、イラスト等の著作権はヒルズ美容クリニック及び関連会社が保有します。許可なく無断複製・引用・使用を禁じます。