耳垂残存型小耳症(右耳)の肋軟骨移植術 2024/10/29

N.H君手術時9歳男児の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

耳垂残存型小耳症(右耳)の肋軟骨移植術を行いました。

手術と経過

右耳の耳垂残存型小耳症
1回目手術前 耳垂残存型小耳症
1回目手術前 小耳症側の右耳
1回目手術前 小耳症側の右耳
1回目手術前 斜めからみた状態
1回目手術前 斜めから見た状態
1回目手術前 正面から見た状態
1回目手術前 正面から見た状態
健側の左耳
健側の左耳

耳垂残存型小耳症(右耳)の術前の状態です。

肋軟骨移植術のデザイン
デザイン

肋軟骨移植術の手術デザインです。

剃毛範囲もなるべく狭くなるようにしています。

皮弁形成を行い、耳垂前面皮弁、耳垂後面皮弁、乳突洞部皮弁、耳珠用皮弁、すべての遺残耳介軟骨を摘出し皮下ポケットを作成
術中

皮弁形成を行いました。

  • 耳垂前面皮弁
  • 耳垂後面皮弁
  • 乳突洞部皮弁
  • 耳珠用皮弁

すべての遺残耳介軟骨を摘出しました。皮下ポケットを作成しました。

永田法の紙型と肋軟骨フレームと3D模型

写真中央:3次元肋軟骨フレーム

写真左:永田法の紙型

写真右:3Dプリンターで作成した耳の模型

永田法の紙型と肋軟骨フレームと3D模型
永田法の紙型と肋軟骨フレームと3D模型
2回目の耳介挙上術で参考となる耳の立ち角度も再現しています

耳の模型は健側の耳を3Dスキャナーでスキャンし、反転させて出力します。模型を参考に、健側の耳の形に近づける工夫をしています。

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介
術直後

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介です。

ボルスター縫合固定をした耳の状態
ボルスター縫合固定

ボルスター縫合固定を行って手術終了です。

次回は耳介挙上術(耳立て手術)を行います。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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