耳垂残存型小耳症(左耳)の耳立て手術 2024/10/1

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

2024年3月に成田富里徳洲会病院で、1回目肋軟骨移植術を行った耳垂残存型小耳症の症例です。1回目手術では肋軟骨フレームを挿入して耳の形を作りました。肋軟骨移植術から7カ月が経過し、このたび耳介挙上術(耳立て手術)を行いました。

最初の状態
1回目の手術後7ヶ月経過(2回目手術前日の状態)まだ耳が立っていない状態
1回目の手術後7ヶ月経過(2回目手術前日の状態)

手術と経過

M.Kさん女児 1回目術前の側面から見た耳の状態
手術前日の状態(1回目手術後7カ月経過の小耳症側の左耳)
M.Kさん女児 1回目術前の斜めから見た耳の状態
手術前日(斜めから見た状態)
M.Kさん女児 1回目術前の正面から見た耳の状態
手術前日(正面)
M.Kさん女児 1回目術前の背面から見た耳の状態
手術前日(背面)
M.Kさん女児 健側の右耳
健側の右耳

手術前日に撮影した耳介です。

健側の耳(右耳)を参考に耳を立てます。

手術当日の術前 髪の毛を剃った状態
手術当日の術前
耳介挙上術のデザイン
デザイン

耳介挙上術のデザインです。

浅側頭筋膜(TPF)を挙上、肋軟骨ブロックを耳裏に挿入するところ
術中の様子

浅側頭筋膜(TPF)を挙上しています。

肋軟骨ブロックを耳裏に挿入します。

肋軟骨ブロックを、翻転した浅側頭筋膜で覆い、その上に頭皮から採取した皮膚(頭皮分層皮膚)を移植します。

耳介挙上術後の耳の状態
2回目手術(耳立て)直後
耳介挙上術後の耳の状態
2回目手術(耳立て)直後
耳介挙上術後の耳の立ち角度
耳の角度

再建した耳はしっかり立っています。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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