第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の耳立て手術 2024/8/2

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の1回目術前の状態
最初の状態

ヘミフェイシャルマイクロソミア(顔面半側萎縮症)を伴う小耳症、第1第2鰓弓症候群の患者様です。2023年7月に成田富里徳洲会病院で、1回目肋軟骨移植術を行いました。

第1第2鰓弓症候群は、耳の位置決定が難しく、必要な部分に皮膚が足りないため、デザイン・手術の難易度が非常に高い小耳症タイプです。

1回目手術報告ブログはこちら→『第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の肋軟骨移植術 2023/7/18』

1回目手術から約1年が経過し、2024年8月に2回目手術の耳介挙上術(耳立て手術)を行いました。

第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の側面から見た術前の状態
1回目肋軟骨移植術から約1年が経過した状態

1回目手術では、肋軟骨フレームを作成し、本来なら耳がある位置に肋軟骨フレームを挿入しました。1回目手術から約1年が経過した状態ですが、耳の溝ができて耳介の形になっています。このままの状態ではまだ耳は立っていません。

2回目の手術では、耳裏に肋軟骨ブロックを挿入し、耳を立てます。

永田法小耳症手術は、このように1回目の手術で耳の輪郭を作り(肋軟骨移植術)、2回目の手術で耳を立てる(耳介挙上術)順番で行います。

第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の1回目術前の状態
最初の状態
1年2カ月後(2回目手術後)

最初の小耳症の状態から1回目、2回目手術を終え、1年2カ月が経過した状態の比較写真です。耳はしっかり立っており、後戻りもしていません。本来、耳のある位置に耳介が形成されています。

手術と経過

第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の術前
術前(側面)
第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の術前の斜めから見た状態
術前(斜め)
第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)背面から見た術前の状態
術前(背面)
第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の眼鏡を掛けた術前の状態
術前(眼鏡を掛けた状態)

術前の状態です。健側の耳(左耳)の立ち角度に合わせて耳を立てます。

耳介挙上術のデザイン
耳介挙上術のデザイン

術前のデザインです。

浅側頭動脈(点線部分)の走行がこめかみに近いため顔面神経の損傷のリスクが高くなります。

このため、神経刺激装置を使用し手術を行いました。

耳介挙上術の術中
術中

浅側頭筋膜(TPF)を挙上しています。

頭皮分層皮膚を採取しています。

術直後の状態
術直後の状態
術直後の状態(耳の角度)
術直後(耳の角度)

術直後の状態です。再建した耳介はしっかり立っています。

2回目手術後 1カ月
2回目手術後 1カ月

2回目術後1カ月が経過した状態です。

4.5カ月経過
2回目手術後 4.5カ月
4.5カ月経過
2回目手術後 4.5カ月
4.5カ月経過
2回目手術後 4.5カ月

2回目術後4.5カ月が経過した状態です。耳裏はまだ赤みがありますが、耳の形は綺麗です。

2回目手術後 7.5カ月
2回目手術後 7.5カ月

2回目術後7.5カ月が経過した状態です。耳介の溝が綺麗にでています。

2回目手術後 1年2カ月後
2回目手術後 1年2カ月
2回目手術後 1年2カ月

2回目術後1年2カ月が経過した状態です。後戻りすることなく耳が立っています。

この患者様の全ての手術記録 → 


今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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