耳垂残存型小耳症(右耳)の耳立て手術 2024/6/28

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

小耳症(右耳)に対し、2019年12月に永田医師が肋軟骨移植術を行って再建した症例(当時10歳)です。1回目手術から4年6.5カ月が経過していますが、このたび耳介挙上術(耳立て手術)を引き継いで行いました。

手術と経過

耳垂残存型小耳症(永田医師が1回目手術を行う前の状態)
1回目手術前の状態

永田医師が1回目肋軟骨移植術を行う前の状態(耳垂残存型)です。

2回目手術(耳立て手術)前の右耳の側面から見た状態
術前(右耳:小耳症側)
2回目手術(耳立て手術)前の右耳の斜めから見た状態
術前(斜めから見た状態)
2回目手術(耳立て手術)前の右耳の正面から見た状態
術前(正面から見た状態)
2回目手術(耳立て手術)前の右耳の背面から見た状態
術前(背面から見た状態)
健側の左側
左耳:健側

耳介挙上術の手術前の状態です。

健側の耳(左)を参考に耳を立てます。

肋軟骨移植術のデザイン
デザイン

耳介挙上術(耳立て手術)のデザインです。

今回は剃毛する範囲を小さくすることに挑戦しました。

永田法の術式を守りつつもより患者様の負担にならないように、日々改善を重ねております。

TPFを挙上
術中

浅側頭筋膜(TPF)を挙上しています。

肋軟骨は十分な大きさがあったため、1本のみ採取しております。

2回目手術(耳立て)直後
2回目手術(耳立て)直後
術直後(耳の角度)
術直後(耳の角度)

再建した耳介はしっかり立っています。

この患者様の全ての手術記録 → 


今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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