第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の肋軟骨移植術 2023/7/18

S.Mさん9歳女児の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

ヘミフェイシャルマイクロソミア(顔面半側萎縮症)を伴う小耳症、第1第2鰓弓症候群の患者様です。

この症例は、耳の位置決定が難しく、必要な部分に皮膚が足りないため、デザイン、手術は非常に難しくなります。

手術と経過

手術前の側面から見た状態
術前(側面)
手術前の正面から見た状態
術前(正面)
手術前の背面から見た状態
術前(背面)

第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症の術前です。

手術前の眼鏡を掛けた状態
術前(眼鏡を掛けた状態)
手術前の眼鏡を掛けた状態の側面
術前(眼鏡を掛けた状態)

眼鏡をかけたときの高さは同じにする必要があります。

第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の肋軟骨移植術の術前デザイン
デザイン

肋軟骨移植術の手術デザインです。

第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の肋軟骨移植術で使用する3次元肋軟骨フレームと紙型
3次元肋軟骨フレームと紙型

作成した3次元肋軟骨フレームと紙型です。

第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の手術の状態

皮弁形成を行いました。

  • 耳垂前面皮弁
  • 耳垂後面皮弁
  • 乳突洞部皮弁
  • 耳珠用皮弁

すべての遺残耳介軟骨を摘出した。皮下ポケットを作成しました。

第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の手術直後
術直後

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介です。

手術直後のボルスター縫合固定をした状態
ボルスター縫合固定

ボルスター縫合固定を行って手術終了です。

第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の肋軟骨移植術から1カ月半が経過した状態
1回目手術後 1.5カ月経過

手術後1.5カ月が経過した状態です。

第1第2鰓弓症候群を伴う小耳症(右耳)の肋軟骨移植術から7カ月が経過した状態
1回目手術後 7カ月経過

手術後7カ月が経過した状態です。

次回は耳介挙上術(耳立て手術)を行います。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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