耳甲介型小耳症(左耳)の耳立て手術 2024/6/21
N.Y君 初回手術時16歳 男児の2回目小耳症手術記録
施設名 | 担当医師 |
---|---|
成田富里徳洲会病院 | 丸山成一 (ヒルズ美容クリニック) |
中島康代 (成田富里徳洲会病院) |
解説
昨年11月に成田富里徳洲会病院で、1回目肋軟骨移植術を行った症例です。1回目手術から7カ月が経過し、耳介挙上術(耳立て手術)を行いました。
2回目手術(耳介挙上術)から2カ月、3カ月後、5.5カ月後の検診では、良好な経過を確認できています。
手術と経過
STEP 01




術前の状態です。
1回目の手術(肋軟骨移植術)から7カ月が経過しています。
STEP 02

術前のデザインです。
浅側頭動脈がかなり後方にあったため頭部の切開線も後方になっています。
STEP 03

浅側頭筋膜(TPF)を挙上しています。
頭皮分層皮膚を採取しています。
TPFの栄養血管が耳の真下の中央部分から出ているため、一塊の挙上用ブロックでは血管を圧迫してしまいます。このため、肋軟骨ブロックを上下のパーツに分けて挿入しました。
また、今回の患者様は1回目の手術で余った肋軟骨を皮下にバンキングしていました。挙上にはその肋軟骨を使用しました。
STEP 04


再建した耳介はしっかり立っています。
STEP 05


2回目の手術から2カ月が経過した状態です。耳介はしっかり立っており、眼鏡もかけられるようになりました。
STEP 06

2回目の手術から3カ月が経過した状態です。耳の溝も綺麗にでています。
STEP 07


2回目の手術から5.5カ月が経過した状態です。後戻りもなく、耳介が形成されています。
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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出
③糸やワイヤーの露出
④傷跡が目立つ
⑤薄毛・脱毛
⑥長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
⑦長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。
※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。
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