耳垂残存型小耳症(右耳)の肋軟骨移植術 2023/8/1

A.T君10歳男児の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

耳垂残存型小耳症(右耳)の肋軟骨移植術を行いました。手術直後(術後約2時間後)の患者様の状態は、ゲーム機で遊べるくらい痛みがコントロールされています。1.5カ月後の術後経過では耳の輪郭がハッキリでてきています。

手術と経過

耳垂残存型小耳症の術前の状態
術前

耳垂残存型小耳症の術前の状態です。

肋軟骨移植術の手術デザイン
デザイン

肋軟骨移植術の手術デザインです。

皮弁形成

皮弁形成を行いました。

  • 耳垂前面皮弁
  • 耳垂後面皮弁
  • 乳突洞部皮弁
  • 耳珠用皮弁

すべての遺残耳介軟骨を摘出しました。皮下ポケットを作成しました。

肋軟骨フレームと紙型
肋軟骨フレームと紙型

作成した3次元肋軟骨フレームと永田法の紙型です。

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介
術直後

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介です。

ボルスター縫合固定
ボルスター縫合固定

ボルスター縫合固定を行って手術終了です。

手術が終わって約2時間後の患者様の様子
術後 約2時間後

手術が終わって約2時間後の患者様の様子です。

ゲーム機で遊べるくらい、術後の痛みはコントロールされています。

術後 1.5カ月
術後 1.5カ月
術後約1.5カ月の耳介の状態
術後 1.5カ月

耳の輪郭がハッキリでてきています。

次回、2回目の手術では耳介挙上術(耳立て手術)を行います。

この患者様の全ての手術記録 → 


今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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