耳垂残存型小耳症(左耳)の肋軟骨移植術 2022/9/20

T.Kさん手術時13歳女児の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

耳垂残存型小耳症(左耳)の肋軟骨移植術を行いました。術後21日、2カ月、6.5カ月の経過では徐々に耳の輪郭がでてきている経過が比較できます。

手術と経過

耳垂残存型小耳症の術前
術前

耳垂残存型小耳症です。

透明フイルムに印刷した本人サイズの設計図

透明フイルムに印刷した本人サイズの設計図を用いて
耳介の正常な場所と大きさを決定します。

肋軟骨移植術の手術デザイン

肋軟骨移植術の手術デザインです。

耳垂残存型小耳症の皮弁形成を行っている術中

皮弁形成を行いました。

  • 耳垂前面皮弁
  • 耳垂後面皮弁
  • 乳突洞部皮弁
  • 耳珠用皮弁

すべての遺残耳介軟骨を摘出した。皮下ポケットを作成しました。

3次元肋軟骨フレームと型紙

作成した3次元肋軟骨フレームと紙型です。

耳垂残存型小耳症の術直後、再建した耳介
術直後

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットへ移植して再建した耳介です。

耳垂残存型小耳症の耳介再建術後、21日の状態
21日後
耳垂残存型小耳症の耳介再建術後、2カ月の状態
2カ月後

術後21日の経過ではまだ耳の輪郭はハッキリしていません。2カ月後の経過では少し輪郭がでてきています。

耳垂残存型小耳症の耳介再建術後、6カ月の側面から耳を見た状態
6.5カ月後(側面)
耳垂残存型小耳症の耳介再建術後、6カ月の前斜めから耳を見た状態
6.5カ月後(前斜め)
耳垂残存型小耳症の耳介再建術後、6カ月の後ろ斜めから耳を見た状態
6.5カ月後(後ろ斜め)
耳垂残存型小耳症の耳介再建術後、手術後21日後、2カ月後、6カ月半の比較
手術後21日後、2カ月後、6.5カ月の比較

術後6.5カ月後の経過です。耳の溝ができています。

半年後、2回目手術(耳を立てる手術)を行います。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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