小耳甲介型小耳症(左耳)の肋軟骨移植術 2022/9/6

I.R君手術時10歳男児の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

小耳甲介型小耳症(左耳)の肋軟骨移植術を行った症例です。手術後3週間、1カ月、3カ月の経過ですが、徐々に腫れや赤みがおさまって、耳介の輪郭がでてきているのが分かります。次回は耳立て手術を行います。

手術と経過

小耳介型小耳症の術前
術前
小耳甲介型小耳症(左耳)のデザイン。透明フイルムに印刷した本人サイズの設計図を用いて耳介の正常な場所と大きさを決定している様子

透明フイルムに印刷した本人サイズの設計図を用いて
耳介の正常な場所と大きさを決定する。

小耳甲介型小耳症(左耳)の手術デザイン

肋軟骨移植術の手術デザイン。

術中(皮弁形成)

皮弁形成を行った。

  • 耳垂前面皮弁
  • 耳垂後面皮弁
  • 乳突洞部皮弁
  • 耳珠用皮弁

すべての遺残耳介軟骨を摘出した。皮下ポケットを作成した。

3次元肋軟骨フレームと型紙

作成した3次元肋軟骨フレームと紙型。

3次元肋軟骨フレームを皮下ポケットに移植して再建した耳介

3次元肋軟骨フレームを
 皮下ポケットへ移植して再建した耳介。

ボルスター縫合固定

ボルスター縫合固定を行って手術終了。

術後3週間の状態、まだ腫れや赤みがある
術後 3週間

まだ術後3週間の状態なので、腫れや赤みが見られます。

術後1カ月の状態、徐々に耳の輪郭がでてきている
術後 1カ月

術後1カ月の状態です。この時期はまだ腫れや赤みが残っている場合がありますが、時間の経過とともに徐々におさまります。

術後3週間経過の状態、耳介の輪郭がはっきりでてきている
術後 3カ月

術後3カ月の状態です。術後1カ月の状態より、耳介の輪郭がはっきりしてきました。皮膚の色も良くなっています。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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