小耳症(右耳)の他院術後 再々健術 2026/5/26

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

他院で作られた右耳

この患者様は、顔面半側萎縮を伴うローヘアラインの耳甲介型小耳症で、幼少期に他院で耳介再建術を受けられていました。

成人後、耳の形態改善を希望されていました。また、再建耳周囲に乾燥の影響と考えられる皮膚のただれや出血を認めるようになったため、これを機に永田法による再々建手術を行いました。

術前の状態では、再建耳の位置がかなり前方に配置されており、耳の長軸も前方へ傾いていました。また、耳介を覆う植皮には頭皮以外から採取した皮膚が使用されていたため、周囲の皮膚との色調差が認められました。

さらに、内部の肋軟骨フレームは耳介の立体構造の再現が十分ではなく、形態的な改善が必要な状態でした。一方で、耳介再建において重要な浅側頭筋膜(TPF)は良好に温存されており、再建に利用できる十分な組織が確保されていました。

手術では既存の肋軟骨フレームを摘出し、新たに作製した3次元肋軟骨フレームへ入れ替えを行いました。健側耳とのバランスを考慮しながら耳の位置や傾きを調整し、より自然な耳介形態となるよう再建を行いました。

他院修正症例では、過去の手術による瘢痕や組織の状態によって再建が難しくなることがありますが、本症例では浅側頭筋膜(TPF)が良好に温存されていたため、それを活用した再々建が可能でした。

手術と経過

他院で作られた小耳症側の耳

側面から見てわかる通り、通常より耳の位置が前方に作られています。

斜めから見た右耳の状態
正面から見た状態
背面から見た状態
斜めから見た健側の耳の状態
健側の左耳

健側の左耳を参考に耳介を再々健します。

デザイン

再々建術のデザインです。黒いマーカーで示した位置が本来の耳の位置となります。

術前デザインでは、顔の基準線や耳介の位置関係を細かく確認しながら、耳の高さ・前後位置・角度を慎重に検討しています。

なお、この患者様は、全体的に毛を剃ることを希望されました。(通常ですとなるべく毛を剃らない工夫をしています。)

他院で作られた肋軟骨フレーム

他院で作製された肋軟骨フレームは、耳輪や対耳輪などの構造の再現が不十分で、耳介としての立体感や形態に課題が残る状態でした。左は植皮されていた色の合わない皮膚です。

3D模型(左)、3次元肋軟骨フレーム(中央)、
永田法の紙型(右)

手術では、採取した肋軟骨を用いて耳の土台となる3次元肋軟骨フレームを作製し、他院で作られたフレームと入れ替えました。

事前に健側である左耳を3Dスキャナーでスキャンし、そのデータを左右反転して3Dプリンターで立体模型を作製しています。手術では、この3D模型を参考にしながら肋軟骨フレームを作製することで、健側の耳の形態にできるだけ近づけられるよう工夫しています。

TPFを挙上

TPFを挙上しています。

術直後

耳介の位置と角度が改善しています。

術後間もないため腫れがみられますが、時間の経過とともに徐々に落ち着いていきます。腫れが改善するにつれて耳介の輪郭や立体感がより明瞭になります。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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