無耳症(左耳)の肋軟骨移植術 2026/5/19

K.Iさん手術時13歳女児の1回目小耳症手術記録

施設名担当医師
成田富里徳洲会病院丸山成一
(ヒルズ美容クリニック)  
中島康代
(成田富里徳洲会病院)

解説

無耳症の症例

この患者様は、顔面非対称に加え、本来耳が存在すべき位置に髪の毛が生えている「頭髪低位」の無耳症症例です。このたび成田富里徳洲会病院にて、小耳症手術1回目の肋軟骨移植術を行いました。

頭髪低位を伴う無耳症は、耳を作る位置と頭髪の生えている範囲が重なってしまうことがあり、耳介再建において「どこに耳を作るか」が非常に重要なポイントになります。

耳の位置は単純に左右を合わせるだけではなく、顔全体のバランスや将来的な成長、今後予定している治療内容まで考慮して決定する必要があります。

本症例では今後、下顎骨延長術を予定しているため、将来的なお顔全体の変化も考慮しながら耳の位置を設計しました。

頭髪低位の無耳症では、耳の位置を優先すると頭髪のある範囲に耳が重なるため、1回目の手術では本来耳がある位置に肋軟骨フレームを挿入し、耳介の形態を作成します。

この時点では毛根の処理は行わないため、一時的に耳に毛が生える状態となりますが、2回目の耳介挙上術の際に毛根の処理を行うため、最終的に移植後に毛が生え続ける心配はほとんどありません。

※万が一、わずかに毛が残って毛根が残って毛が生えた場合でも、医療レーザー脱毛による処置が可能です。成田富里徳洲会病院およびヒルズ美容クリニックでは、そのような場合にも対応できる体制を整えています。

【無耳症とは】耳介がほぼ存在せず、耳垂部分の組織が足りないため耳垂が作れない状態です(本来あるべき場所から離れた位置に、小さな耳たぶや福耳が存在する場合もあります)。そのため、他の小耳症タイプより術式は複雑になります。

手術と経過

術前(左耳小耳症側)
術前(左耳小耳症側)
術前(斜めから見た左耳)
正面から見た状態
背面から見た状態
健側の右耳を斜めから見た状態
健側の右耳を側面から見た状態

無耳症小耳症の症例です。

肋軟骨移植術デザイン

術前デザインでは、顔の基準線や耳介の位置関係を細かく確認しながら、耳の高さ・前後位置・角度を慎重に検討しました。

また、眼鏡を使用する際のことも考慮し、目・鼻・耳の位置関係や日常生活での機能面にも配慮しながら設計しています。

3次元肋軟骨フレーム作成の様子
永田法の紙型(左)、3次元肋軟骨フレーム(中央)、3D模型(右)

事前に、健側の右耳を3Dスキャナーでスキャンし、データを反転して3Dプリンターで出力し3D模型を作成します。

手術では、採取した肋軟骨を用いて耳の土台となる3次元肋軟骨フレームを作成します。その際、あらかじめ準備した3D模型を参考にすることで、健側の耳の形にできるだけ近づけるよう工夫しています。

術中

3次元肋軟骨フレームを挿入した状態です。

耳の形がしっかり出来ています。

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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出

③糸やワイヤーの露出
傷跡が目立つ
薄毛・脱毛
長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。

※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。

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