他院での耳介再建術後に耳裏から毛が生えた症例
I.Yさん成人女性の施術記録
| 施設名 | 担当医師 |
|---|---|
| 成田富里徳洲会病院 | 丸山成一 (ヒルズ美容クリニック) |
| 中島康代 (成田富里徳洲会病院) |
解説
今回のブログは過去に他院で小耳症手術を受けられた方の症例です。他院での耳の再建時に、鼠径部から採皮されていたため、思春期以降に耳の後ろに毛が生えるようになりました。そのため、このたび成田富里徳洲会病院にて医療レーザー脱毛を行いました。このような手術後の部位に対する脱毛にも対応できる体制を整えています。


採皮部位について
小耳症の再建では、耳を立てる際に皮膚移植(植皮)が必要となります。採皮部位の選択は、将来的な耳の見た目やケアのしやすさに影響することがあります。鼠径部(脚の付け根)から採皮した場合、幼少期に問題が見られなくても、成長と共に毛が生えてくることがあります。これは、採皮の際に毛根も一緒に移植されるためです。
永田法における採皮部位の選択
耳を立てる際に必要となる植皮について、永田法では採皮部位として頭皮を選択します。
頭皮の皮膚は、鼠径部の皮膚のように縮むことがありません。特に側頭部(耳の後ろ)の頭皮は、再建する耳の裏側に近いため、色調(カラーマッチ)や質感(テクスチャーマッチ)が非常に良いという利点があります。また、毛根部を処理して使用するため、移植後に毛が生えることもありません。
頭皮から採皮した皮膚は、移植後にわずかな収縮が見られることもありますが、耳をしっかり固定して再建すれば長期的に安定し、面積も維持されます。
植皮後に生じる一時的な皮膚収縮(いわゆる二次収縮)も、半年ほどでほぼ落ち着きます。
耳をより自然に、長く快適に保つためには、採皮部位の選択が大切な要素となります。
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今回の手術の術後合併症
■重篤な合併症
顔面神経や血管の走行に異常を認めることが多く、手術によって顔面神経麻痺や皮膚壊死を起こすことがあります。
また軟骨の採取部位では気胸・血胸・心タンポナーデの可能性があります。
■その他の合併症
①皮弁の生着不良・壊死
②感染(MRSAなど)、移植軟骨の露出
③糸やワイヤーの露出
④傷跡が目立つ
⑤薄毛・脱毛
⑥長時間同じ体位による環軸椎亜脱臼{第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)}
⑦長時間同じ体位による褥瘡
⑧その他、予測不可能な合併症
以上のような合併症が起こった場合は、再手術や処置を行う場合もありますが、不可逆的な状態もありえますのでご了承ください。
※ここに供覧した症例は、小耳症の手術をご理解いただくためのものです。症例により結果は異なります。
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